日本三大そばのひとつ「戸隠そば」のそば打ち体験

ぼんやり景色を眺めたり、ゆっくりと散策したり...という「あてもなくのんびり過ごす旅」もなかなかいいものですが、そんな時間の合間に「その地域ならではの体験」を織り交ぜてみると、より鮮烈な思い出や貴重な経験ができるもの!今回は、長野県の戸隠にて、そば打ちに挑戦してみました。

戸隠そばといえば、岩手のわんこそば、島根の出雲そばと並ぶ「日本三大そば」のひとつ。長野市の中心部から車で1時間ほどの山間部(戸隠地区)を発祥とし、現在でもこのエリア内に40軒ほどのお蕎麦屋さんが点在しています。季節によっては、白いそばの花が可憐に咲いている様子も楽しめます。

訪れたのは「戸隠そば博物館 とんくるりん」。戸隠そばについて学べる博物館(入館料は大人200円、中学生以下150円)があり、そばや山菜、天ぷらなどが食べられる食堂もあるので「そばについて学びたい!おいしく食べたい!」というときにおすすめ。

もちろん今回は、それに加えて「そばづくりを体験したい!」という願望も叶えてきました。

  • 博物館を見学せず、そば打ちだけ体験することも可能です。

体験はひと鉢(4人前)ごとに行います。4人で参加してもいいし、1~3人で参加して、食べきれない分を持ち帰ることも可能。ひと鉢3,240円(+つゆ薬味代ひとり250円)でそば打ち+試食ができるので、とてもお得!地元のそば打ち名人が丁寧に教えてくださるので、子連れでも安心して楽しく参加できます。

では早速、初めてのそば打ちに挑戦!

まず、あらかじめ分量ごとに準備してあるそば粉に熱湯を注いで指先でざっくり混ぜたら、小麦粉を加え、水を注ぎながら今度はお箸を使って、パラパラになるように混ぜていきます。

水の量は気温や湿度によって調整が必要ですが、名人さんに相談しながら進めていくので、大丈夫です。

しっとりコロコロとしたかたまりになったら、全体を寄せ集め、上半身の体重をかけながら手の平全体で押すようにして練っていきます。横長にしてツルリとした状態になるまでしっかりと!

この後、まとめた玉を横に回転させながら絞るように円錐形にする「へそ出し」という行程(へそを出すことで中の空気を抜くそうです)があるのですが、これは初心者にはなかなか難しく。へそ出しは名人さんの手を借りながら仕上げました。

きれいに丸まったら「のし板」に打ち粉をふってそば玉をのせ、親指の付け根の腹を使って周囲を押し広げていきます。「押しては広げ、90度回転...を繰り返す」「中央には盛り上がりを残しておく」など留意点をその都度指導していただきながら、30cmくらいまでのばしたら、ここからはめん棒で。

めん棒は中央をはずして置き、前方に転がします。回転させながら少しずつ、40cmくらいまでのばします。そして、この先の作業はなかなかダイナミック。

めん棒に生地を巻き付けて、手前から奥に向かって一気に転がしながら引き戻す感じ。角度を変えながら繰り返し、70cmほどの円形に。生地の厚みは2mm程度が目安だそうです。名人のようなまん丸にはなりませんが、初心者でもとにかく楽しい作業が続きます。

生地が十分に広がったら、打ち粉をふりながら折り畳みます。そしていよいよ、切る作業。「こま板」をたたんだ生地の上に置き、側面に包丁を押し当てながら切っていきます。

包丁を垂直に下ろしたあと、こま板の側にほんの少し(包丁の厚さくらい)かしげると、その分だけこま板が左にずれていくので、等間隔で切れます!と教えていただきました。

こま板を利用しながらゆっくり切ればよいので、子どもでも安全に作業ができます。名人のように太さを均一にするのはやはり難しいですが、その不揃い感もまた手打ちならではの味わい。家族みんなで交代しながら「自分たちのそば」を切っていくのはなんとも楽しいものです。

打ち立てのそばは食堂ですぐに茹でてもらい、その場で食せます。4人前なのでかなりの大盛り!でも、打ち立てはさすがにおいしくて、大人も子どもも箸が止まりません。追加で天ぷらを注文することもできるので、ぜひ一緒にどうぞ!

ちなみに、今回教わった蕎麦の打ち方は「一本棒、丸延ばし」と言われる伝統技。一本のめん棒に生地を巻き付けて転がし、引き戻すときにのし板に打ち付けながら丸い形にのしていく方法をそう呼ぶのだそうです。

名人さんが丁寧に教えてくださるので、難しい工程も楽しく終えることができ「家でもやってみたい」とすら思えました。なにしろ、打ち立てのそばが本当においしかったので!

近くにはパワースポットとしても人気の戸隠奥社などがあり、食後の散策にもおすすめ。参道には江戸初期に植林されたという樹齢400年の杉が連なっていて、なかなか見応えがあります。

子どもからお年寄りまで幅広く楽しめるそば打ち。戸隠に限らず、そばが名産のエリアなら体験させてもらえるお店も多いので、ぜひ挑戦してみてください。これを機に、道具を一式そろえて「そば打ち名人」を目指したくなるかもしれませんね!?

2024.03.28 08:31
2024.03.28 08:37
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